2018年11月6日火曜日

2018年10月21日

2018年10月21日 聖霊降臨節第23主日礼拝説教要旨
  「絶妙ブレンド」 横山順一牧師
   創世記 11:1~9節
 四月に天に召された榎本てる子さんは、生前「ブレンディング・コミュニティ」を作る夢をたびたび語っておられた。性をはじめ様々な立場の人間が「混ぜあわされた」豊かな多様性の社会を目指したてる子さんの夢に賛同する。ちなみに沖縄の踊り「カチャーシー」も、混ぜるという意味。
 かつていた教会でいただいたブリューゲルの「バベルの塔」のパズル絵を眺めていて、ふと、塔の下で鞭打たれ働かされている庶民の姿から気づかされた。つまりそのような強制・強要をしないと塔の建設は不可能だということ。
 テキストはニムロドが建てたバベルの塔の箇所。「有名になりたい」という願望は誰にもあろう。しかし実際にできる人は限られる。基本的にそれは「権力者」ではないか。口語訳ではニムロドは「地上で最初の権力者」だと訳される。
 「世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた」(1節)とあるが、戦時中の日本が他国の言葉や文化を奪う同化政策を推進したのと同様を示している。そうでなければ戦争という塔の建設ができなかった。
 神が怒りをもって塔を壊されたのは当然の結末だった。神がなさったのは混乱のためではなかった。バラルにはごちゃ混ぜという意味がある。無理に一つとされた民たちに、それぞれの言葉を使い、それぞれ自由に生きて良いという神からの示し。また違うが故に、互いに聞き合わねばならないという神の思い。それがバベルの塔の物語の骨子だろう。
 弟子たちがそれぞれの言葉で語り出したという使徒言行録のペンテコステの出来事も、それぞれが自由に語って良い、語るべきという神の愛の思いを示している。
 ごちゃ混ぜとは、無造作なバラバラを意味しない。神の配慮に満ちた絶妙なブレンドである。聖書は、太古から多様性の大切さを記していた。

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