2024年5月11日土曜日

2024年5月5日

 2024年5月5日 復活節第6主日礼拝説教要旨

「大丈夫。わたしがいるから。」 小笠原純牧師

  ヨハネによる福音書 16:25-33節

 『死にたいけどトッポッキは食べたい』(光文社)は、韓国でベストセラーになったエッセイです。BTS (防弾少年団)のメンバーのRMの枕元にも置いてあったと言われています。「なんとなく気持ちが沈み、自己嫌悪に陥る。ぼんやりと、もう死んでしまいたいと思いつつ、一方でお腹がすいてトッポッキが食べたいなと思う…。気分変調症(軽度のうつが長く続く状態)を抱える女性が、精神科医とのカウンセリングを通して、自分自身を見つめ直した12週間のエッセイ」。

 イエスさまと弟子との関係は、イエスさまが「わたしについてきなさい」と言われ、弟子が「はい、ついていきます」とついていき、いろいろなことがあるけれども、いけいけどんどんで歩んでいくというような感じです。ですから「メンタルやられて、もうちょっとだめです」というような話はあまり出てきません。

 しかし聖書にも体の調子が悪くなった人の話が出てきます。使徒パウロは体の調子が悪かったときのことを書いています(ガラテヤ4章13-14節)。使徒パウロが体の調子が悪かったとき、ガラテヤの教会の人たちがパウロを大切にしてくれたことによって、ガラテヤの教会はできました。またエパフロディトは、使徒パウロが獄中生活を送っている時に、フィリピの教会の人たちから使徒パウロのお世話をするために送りだされたのですが、途中でちょっとしんどくなって、フィリピに帰りたいと思います(フィリピ2章25-28節)。

 大切な人を失ったあとの喪失感というのは、あとからじわーっときいてくるということがあるわけです。「ああ、イエスさま、もうおられないんだ」。イエスさまの弟子たちはユダヤ人で韓国人ではないですから、『死にたいけどトッポッキは食べたい』とは思わないでしょうけれども、『死にたいけどデーツは食べたい』というような気持ちになる弟子たちもあっただろうと思います。

 イエスさまは弟子たちに、「しかし、わたしはひとりではない。父が、共にいてくださるからだ」と言われました。わたしと共にいてくださった神さまは、あなたと共にいてくださる。だから勇気を出しなさい。勇気をもって、歩み始めてみてほしい。

 イエスさまは少し疲れた私たちを招いておられます。無理せず、ゆっくりと歩み始めてみましょう。神さまは私たちを守り導いてくださり、私たちに必要なものを備えてくださいます。


2024年5月4日土曜日

2024年4月28日

 2024年4月28日 復活節第5主日礼拝説教要旨

「愛、憎しみの世界での約束」 小笠原純牧師

  ヨハネによる福音書 15:15-27節

 ロシアとウクライナの戦争、イスラエルとパレスチナのハマスの戦争など、私たちの世界はここ数年、とても重苦しくつらい戦争の出来事に覆われています。またイスラエルとイランが行なったミサイル攻撃など、私たちを不安にさせます。争いの多い世界にあって、イエスさまが逮捕された時に言われた言葉を思い起こしたいと思います。「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる」(マタイ26章52節)。イエスさまは力に頼るのではない道を歩まれた方でした。

 イエスさまが十字架につけられる前に、最後に弟子たちに伝えた命令は、「互いに愛し合いなさい」ということでした。あなたたちが生きていくためには、互いに愛し合うことが必要なのだと、イエスさまは言われました。そのあと、イエスさまは弟子たちに、世の人々はあなたたちを憎み、あなたたちは迫害されることになるだろうと言われました。

 迫害をされるということですから、弟子たちは人々から憎まれるということです。弟子たちは憎しみの多い世界で生きることを強いられます。争いや憎しみの多い世界では、力で持って押さえつけるようなことが良いことのように言われます。しかしイエスさまは弟子たちに「互いに愛し合いなさい」と言われました。憎しみや争いの多い世界だからこそ、互いに愛し合うということが大切なのだ。憎しみや争いの多い世界だからこそ、互いに愛し合うことが最後の砦なのだ。互いに愛し合うこと、互いに尊敬しあうこと、それが私たちの世の中で大切なことなのだと、イエスさまは言われました。そしてイエスさまは十字架への歩みへと進まれます。

 十字架につけられ、人々からののしられるイエスさまが、「互いに愛し合いなさい」と言われます。イエスさまは多くの人々を救いました。しかし自分を救うことはできませんでした。そのイエスさまが、私たちに「互いに愛し合いなさい」と言われます。憎しみや怒りに支配されることなく、イエスさまの愛を拠り所にして生きていく。それがイエスさまが私たちに対してくださった約束です。

 イエス・キリストは私たちの罪のために十字架についてくださり、私たちに永遠の命を約束してくださいました。憎しみや怒りに支配されそうになることが私たちには多いですけれども、イエスさまが私たちのところに送ってくださる弁護者である聖霊の働きを信じて、寛容なこころを取戻したいと思います。イエスさまの愛に包まれて、こころ平安に歩んでいきましょう。