2025年11月23日 降誕前第5主日礼拝説教要旨
「両手にもてるものだけにしなさい」 小笠原純牧師
マルコによる福音書 10:17-31節
今日は収穫感謝日です。秋の実りを、神さまに感謝する日です。神さまから与えられた豊かな恵みは、ひとりじめするものではなく、みんなでわかちあうものであることを、覚えたいと思います。
わたしが新潟県三条市の三条教会にいたときに、教会員のかたが、市に買い物に行ったときの話をしてくれました。市っていうのは道路に臨時の店が出ていて、いっぱい野菜や果物や魚が売っているところです。スーパーで買うより、ものすごく安くかえます。彼女は家から橋を渡って、市に買い物に行きました。市につくと、いっぱいいろんなものが安く売っています。そんなのを見ると、もううれしくなって、「これも買おう。あれも買おう。この魚も買おう。このスイカも買おう」って、いっぱいいっぱい買いました。そして市からの帰り道、いっぱい買ったものをもっていると、だんだんとしんどくなってきました。いっぱい、いっぱい、買ったから。ふうふう言いながら、汗をながしながら、両手にあまるような買い物を、必死でもって帰ったそうです。そんな話を彼女はわたしにしてくれて、「もう、帰り道の橋の上まで来たとき、もう、この橋の上から買った荷物全部なげすてようかと思いました」「でもまた、市に行ったら、同じように、買ってしまうんですよね。人間て、ばかですねえ」と笑っておられました。
イエスさまのところに、お金持ちの男の人がやってきました。そしてイエスさまに「永遠の命を得るためには、どうしたらいいでしょうか」と聞きました。イエスさまは掟を守りなさい。そして「行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい」と言われました。
お金持ちの男の人は、このイエスさまの言葉を聞いて、びっくりしました。男の人にはたくさんの財産があったので、「この財産を貧しい人にあげるなんてことはできない。これはおれのものなんだから」って思いました。そして、イエスさまの前から立ち去ってしまいました。
ぼくたち、私たちのこころのなかにも、このお金持ちの男の人のようなこころがあります。「おれのものは、おれのもの。だからだれかとわけるなんて、いやだ」。イエスさまは「おれのもの、おれのもの」っていう世界から、「みんなでわかちあおう」っていう世界にしたいよねって、私たちに教えてくださっています。
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