2016年12月4日アドベント第2主日礼拝説教要旨
「不安の中での安らぎ」宇野稔牧師
(ルカによる福音書2章1〜7節)
クリスマスを待つ時間の中を歩んでいます。平和を心から祈りつつも平和な世界にならず心を痛め続ける日々の中に立っています。世界は混乱や紛争が繰り返され、国内でも深刻な問題続発し、不幸な事故や凶悪な事件が起きています。また超高齢化社会、格差社会となり、年金や介護や貧困の問題など、ますます難しい状況になり、孤独や不安が広がっています。また、愛する者の死や病気や災難など、悲しみや苦しみで満ちているのです。
今年も全国のあちこちで地震災害が頻繁に起こりました。しかし、暗い現実の中だからこそ、平和の主イエスがお生まれになられます。「マリアは月が満ちて初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた」とあります。ベツレヘムの馬小屋で名もない大工の家に子どもが生まれるというニュースは人々の注目を引くような大きい事件では決してありませんでした。確かに羊飼いの他にはベツレヘムの村人さえ知らなかったのですが、それが世界の歴史の中心点となるような事件となったのです。世界の片隅でひっそりとした静から出来事が、実は世界に大きな喜びの歌声を響かせていく事件となっていくのです。
クリスマスの讃美歌は沢山あり歌われますが、その中でも有名な「きよしこの夜」(264)があります。大塚野百合さんの「讃美歌と大作曲家たち」によれば、「まぶねの中に」と訳されたことは意味深く、十字架に至るキリストの姿を象徴していると云われています。何も問題がないから静かで安らかであるというのではなく、苦難と不安(激動)の象徴である「まぶね」の中で安らかであるというのです。まさに264番の讃美歌に響いているのは、この世にはないような不思議な天国の静けさ、安らぎなのです。
私たちもアドベントのこの期間、安らかに静かに思いを馳せ、イエス・キリストを想いつつ一日一日を大切に歩みたいものです。
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