2017年10月3日火曜日

2017年9月17日

2017年9月17日 恵老の日礼拝説教要旨
「天に富を積む一つのこと」 宇野 稔牧師
ルカによる福音書18:18~30節
 生きる上での大切な課題…。それは今自分にとって必要なものは何か、それをどのようにして手にするかと考えてはいないでしょうか。必要なものを選択し、その獲得を目的として歩み続ける毎日であるなら、まさに私たちは持っているものの豊かさと人生の豊かさとが比例するという価値観の中に身を置いているのです。より充実した豊かな人生を築く為に少しでも多くのもので満たされようと努力します。それは必ずしも持ち物や財産と云った物質的な物とは限りません。経験や知識の積み重ね、蓄えも豊かな人生を築き上げていく為に必要なものでしょう。
 しかしイエスは、人が生きる目的は「得ようと努力すること」ではないことを説かれます。「得る」こと自体を否定されていません。問題はそれを人生の「最優先課題」としている私たちの現実です。ここで「何をすれば永遠の生命を受け継ぐことが出来るか」との問いを携えて来た金持ちの議員は、何の不自由もない生活を送っていながら「命」について悩んでいます。それは「生きる」ことについての悩みです。幸福な人生を手に入れたはずが、生きることの満足感を味わうことが出来ないのです。彼の心は虚しさに支配されていたのです。それに対してイエスの回答は「持っているものを全て売り払い貧しい人々に分けてやりなさい」というものでした。これは金持ちであることを禁止しているのではなく、慈善や奉仕を奨めているのではなく、主が求めておられるのは「価値観の転換」なのです。
 この金持ちの議員は、生き方の中で人との関係を失い、彼にとって生きる目的を果たせば果たすほど喜びを見失っていったのです。さらに、自分を必要としている他者の存在はなく、必要とされる自分もありません。「受けること(得ること)」を追い求める中で忘れているものがあり、「決定的に欠けている一つのこと」は自分を必要としている他者と出会うことだったのです。大切なことは、獲得(受ける)ことではなく、失う(与える)ことを通して得る人との関係なのです。

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