2021年8月8日 聖霊降臨節第12主日礼拝説教要旨
「蛇のように賢く、鳩のように素直に」 小笠原純牧師
マタイによる福音書 10:16ー25節
『<効率的な利他主義>宣言! 慈善活動への科学的アプローチ』(みすず書房)のなかで、ウィリアム・マッカスキルは、慈善活動を効率良くする方法について語っています。慈善活動をしている団体のことを詳しく調べ、ここに募金をすると、一番効率良く、世の中のためになるということを明らかにします。慈善活動も自分がその活動のために働くよりも、自分が効率良く稼いだお金で、その団体に募金をしたほうが効率良いというようなアドバイスをしています。ウィリアム・マッカスキルの言うことにすべて納得がいくというようなことでもないのですが、その冷静な論の進め方は、なかなかおもしろいなあと思いました。「蛇のように賢く」生きる知恵のような気がします。
イエスさまは弟子たちを派遣するときに、弟子たちが迫害を受けることを語っています。そして「蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい」と言われました。アジア・太平洋戦争中、クリスチャンは戦争に協力をし、そしてまたいろいろな迫害も受けました。『平安教会百年史』には、アジア・太平洋戦争のときの教会の様子として、次のような記述があります。【一九三七年から一九四五年にいたるこの期間は、軍国主義のもとにおける戦争の暗黒時代であった。教会には目立った抵抗運動もないまま、結果的には、皇道主義、軍国主義の国家体制の中で、従順にこれに従わざるをえなかったという歴史が深い傷跡のように残されている】(p.130)。国家が誤った歩みを始めると、それを止めることはなかなかむつかしいことです。そうなる前にとめなければなりません。
「蛇のように賢く、鳩のように素直に」生きようと思うわけですが、実際問題、「蛇のように賢く」と言われても、世の中はきびしく、激しい迫害の前に、ただただ翻弄されて、どうしたら良いのかわからないというようなことが多いのだと思います。ですからイエスさまは結局、「鳩のように素直に」神さまに従って歩むということを大切にしなさいと言われました。
私たちクリスチャンは、ただ神さまの方を向いて、「鳩のように素直に」神さまに従って歩むということを大切にしたいと思います。それは愚かなことに見えるときもありますが、しかし神さまに向き合って歩むとき、私たちの歩みは良き歩みであり、神さまから祝福された歩みであるわけです。素直に、神さまを信じ、神さまに依り頼んで、歩んでいきましょう。
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