2022年2月10日木曜日

2022年2月6日

 2022年2月6日 降誕節第8主日礼拝説教要旨

 「主イエスの秘密」 山下毅牧師

   マルコによる福音書 1:40-45節

 ユダヤでは、救い主、メシアこそ、「重い皮膚病」を癒すことが出来る、という言い伝えがありました。そのことが、この話の基本に流れています。

 重い皮膚病を患っている人が、イエスの所へ来てひざまずいて願い、「御心ならば、わたしを清くすることがおできになります。」 この言葉を聞いたとき、イエスは眉をひそめたことでしょう。何故ならこの人の悲惨な身の上を思わざるを得ないのです。重い皮膚病の規定は、レビ記13章、14章です。判定を下すのは、祭司の仕事です。儀式的に汚れているか否かの判定です。宣告を受けた人は、レビ記13章45節にのべられているように、衣服を裂き、髪をほどき、口ひげを覆い、「わたしは汚れた者です」叫んで歩き、宿営の外での暮らしとなります。イエスの顔は苦痛に歪んでいたと思います。41節の御言葉、「深く憐み」、他者への同情のために心が痛められた言葉です。古い写本では、「激しく憤られて」とあります。43節「厳しく注意して」は、馬が荒々しく鼻息をたてるありさまを示す言葉で、イエスの心は激しいものであったことを示します。――ここでのイエスの姿は、人知を超えた愛の姿であり、神の満ちあふれる豊かさのすべてがあります。

 この重い皮膚病患者は、律法の規定にそむいて、イエスに接近して来ました。見つかれば殺害されるかも知れません。イエスはその汚れに触れてはならぬという掟を無視して、ためらうことなく手で触られ、癒されたのです。その男に触れることによってレビ記中の律法に定められた汚れを受けられたのです。

 「行って祭司に体を見せ、モーセが定められたものを清めのために献げて、人々に証明しなさい」とイエスは述べられました。この男を励まし、社会復帰を促されました。

 「彼はそこを立ち去ると、大いなるこの出来事を人々に告げ、言い始めた」。この男は、出て行って「出来事を告げる」のです。「告げる」という言葉は、39節の「宣教し」と訳されている言葉と同じ言葉です。「言い広めた」という言葉も、主イエスが、神の国は来た、神の支配が始まっていると伝道したのです。

 私たちの教会は、この主イエスの暖かい愛、憤りの厳しい力、そして深い痛みを伴う憐みの心を讃えつつ、私どもが聞いた神の御言葉、神の支配を宣べ伝えてやまない、教会でありたいと思います。


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