2021年7月23日金曜日

2021年7月18日

 2021年7月18日 聖霊降臨節第9主日礼拝説教要旨

  「神さまのもとに生きている」 小笠原純牧師

    マタイによる福音書 8:5ー13節

 トマス・アクィナスは13世紀の中世ヨーロッパの神学者・哲学者です。『神学大全』を書きました。トマス・アクィナスはこう言います。【神が諸々の事物を存在にまで産出したのは、諸々の被造物に自らの善性を伝達し、これ(善性)をこれら(の被造物)を通じて表現するためであった】(P.212)。【すべての被造物は神の善性を分有していて、所有している善を他のものへと拡散させる。なぜなら、自らを他のものへと分かち与えることが善の特質に属しているからである】(P.213)(山本芳久『トマス・アクィナス 肯定の哲学』)。

 神さまは世界をつくられ、そして世界に神さまの善性を与えられた。だから世界は良きものであるのです。そして善というのは自ら善のままであるのではなく、善を広め、他の物と分かち合うという性質があるので、善はどんどんと世界に広がっていくのだと、トマス・アクィナスは言います。『世界は善に満ちている』わけです。なんとも幸せな気持ちになります。そこにも、ここにも、善が満ちあふれているのです。私たちは良き物を分かち合わずにはいられない神さまが作られた世界の中に生きています。そして善は世界に満ちあふれていく。私たちもまたそのためにつくられています。私たちは世界を治めておられる神さまの権威の下に生きているのです。

 イエスさまは自分の僕の病をいやしてほしいと願い出た百人隊長の願いをかなえられました。イエスさまは、「わたしは権威の下にある者だ」と言った百人隊長の信仰を誉められ、私たちが神さまの権威の下に生きていることをしっかりと受けとめるようにと願っておられます。私たちはだれのもとにいきているのか。私たちの中心軸はなんであるのか。私たちはだれにより頼んで生きているのか。そのことをしっかりとこころにとめることをしなければならないと、イエスさまは私たちに言っておられます。

 私たちは「神さまの権威の下に生きている」と言える者でありたいと思います。ついつい神さまのことを忘れてしまって、自分勝手なことばかりしてしまう、弱い私たちです。神さまから離れ、自分のことばかりに関心がいってしまう、私たちです。しかし神さまが私たちを愛し、私たちを導いてくださっていることを思い起こしたいと思います。


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