2025年2月14日金曜日

2025年2月9日

 2025年2月9日 降誕節第7主日礼拝説教要旨

「すなおにおなり」 小笠原純牧師

  ルカによる福音書 5:1-11節

 この聖書の箇所はイエスさまの弟子たちの召命物語です。しかしどうして弟子たちはこうも素直に、イエスさまにつき従うことになったのでしょうか。「すべてを捨てて」イエスさまに従うようになったのでしょうか。わたしは弟子たちが、暗い湖を見つめながら、自らの心の深淵に思いをはせる、自分の罪を深く顧みることがあったからだと思います。弟子たちは暗い湖をみつめるという日常の生活の中から、イエスさまの御言葉に出会ったのです。

 ペトロたちは「夜通し苦労する者」だったのです。ペトロたちは貧しい漁師として生きていました。夜通し苦労しても、何もとれないことがある。食べていかなければならないのに、食べていくための魚は十分には得られない。貧しさの中で、互いに口論することもあったでしょう。「あいつが悪いから、漁がうまくいかなかった」「なんであいつはいつもいばってるんだ」「ちゃんとだんどりをやっとけよ」「なんだその言葉遣いは」。そんなことが私たちの日常生活と同じように起こっていただろうと思います。

 そして暗い海をみつめながら、自らのことを思うのです。「なぜ自分はもっと思いやりのある言葉をかけることができないのだろう」「みんな貧しくて苦労しているのに、自分のことだけ考えて、うまくたちまわるのだろう」「どうして仲間のたらないところを、心優しくおぎなっていくということができないのだろう」「なぜいつもいらいらいらいらして、互いに傷つけあっているのだろう」。暗い夜の湖をみつめながら、正しく生きられない自分の罪を顧みていたのです。「神さま、わたしはほんとうにあなたから祝福されているのでしょうか」「神さま、わたしはあなたから愛されているのでしょうか」。暗い湖のうえ、舟に揺られながら、自分の揺れるこころと向き合っていたのだと思います。

 夜の暗闇の湖に揺られながら、自らの魂の深淵をみつめていたペトロやヨハネやヤコブは、イエスさまと出会い、イエスさまについていきました。私たちもまた罪と暗闇の湖に揺れながら、迷い、傷つき生きている者です。そんな私たちをイエスさまは「恐れるな」「そのままでいいんだ」「素直になりなさい」と招いてくださっています。イエスさまの招きに応え、イエスさまにつきしたがっていきましょう。


0 件のコメント:

コメントを投稿