2025年4月6日 受難節第5主日礼拝説教要旨
「イエスさまの杯、苦い杯」 小笠原純牧師
マタイによる福音書 20:20ー28節
大山崎美術館に「松本竣介 街と人 ー冴えた視線で描くー 展覧会」を見にいきました。松本竣介は明治から昭和にかけて生きた洋画家です。美術雑誌の『みづゑ』は、1940年に軍部による座談会「国防国家と美術―画家は何をなすべきか―」を掲載します。それに対して、松本竣介は1941年に『みづゑ』の4月号に「生きてゐる画家」という文章を発表します。まじめな常識人であった松本竣介は、自分が画家としてしっかりと立ち、そして国家からの干渉を受けて、志が曲がってしまうようなことではだめだというような思いをもっていたのだろうと思います。
人は誘惑に陥りやすいですから、少々志に反したことをしても、立身出世であるとか、自分の生活が守られることのほうが大切だという気になることもあります。また人間、いつもいつも強いわけではないですから、このときは立派に生きることができたということもあれば、あのときはなんかダメな人間だったなあと思えるときもあります。神さまの前に、いつもいつもすばらしい人間であることができるのであれば、それにこしたことはないわけですが、しかしまあそういうわけにもいかないという人間の弱さがあるわけです。
ヤコブとヨハネの母はヤコブとヨハネを連れて、イエスさまのところにきて、ヤコブとヨハネの立身出世を願います。それを聞いた弟子たちはみんな腹を立てます。みんな同じことを考えていたからです。
イエスさまは弟子たちを諭されました。イエスさまは私たちに「あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上になりたい者は、皆の僕になりなさい」と言われました。あなたたちは迷ったり、不安になったりするけれども、でも神さまはあなたたちのことを見ておられる。だからあなたたちは皆に仕える生き方をしてほしい。高慢になり、人をつかおうとする生き方をするのではなく、皆に仕える生き方をしてほしい。わたしがそのように生きたのだから、あなたたちもまたそのように生きてほしい。あなたたちのなかにあるやさしい気持ちを大切にしてほしい。あなたたちのなかにある思いやりの気持ちを大切にしてほしい。
レント・受難節も第5週目を迎えました。来週は棕櫚の主日を迎えます。十字架への道を歩まれるイエスさまが、私たちを導いてくださっています。やさしい気持ちになって、イエスさまに従って歩んでいきましょう。